ジャッキー・チェン、映画『ベスト・キッド：レジェンズ』舞台挨拶で映画愛を語る

2025年8月29日に全国公開された最新映画『ベスト・キッド：レジェンズ』の封切りを記念して、本作でカンフーの達人であるミスター・ハン役を演じたジャッキー・チェンが来日し、盛大な舞台挨拶が行われました。彼の日本での映画関連イベントは、1995年公開の『レッド・ブロンクス』以来、実に30年ぶりとなる歴史的な瞬間です。会場に集まった多くのファンを前に、ジャッキーは長年の応援に感謝の意を表し、自身とファンが共に成長してきたことへの感慨を述べました。

ジャッキー・チェンは、その多忙なスケジュールの中でスイスからイタリア、ロンドン、北京、マカオ、香港を経由し、日本へ到着。自身の居場所が分からなくなるほどの過密日程にもかかわらず、「今日、ここにいることが何よりも大切」と語り、ファンから大きな拍手を浴びました。彼は『ベスト・キッド：レジェンズ』の製作過程を「奇跡」と表現し、初代『ベスト・キッド』を劇場で鑑賞した際、「なぜ自分にオファーがなかったのか」と残念に感じたエピソードを披露。ウィル・スミスからリメイク版の企画が持ちかけられた際のエピソードも語り、会場を笑いの渦に巻き込みました。

2010年のリメイク版『ベスト・キッド』が大成功を収めた後、ウィル・スミスは続編を計画しましたが、適切な脚本に恵まれず、10年の歳月が流れてしまいました。その間に主演のジェイデン・スミスが成長し、続編の実現は困難かと思われました。しかし、さらに数年後、ソニー・ピクチャーズから新たな才能、ベン・ウォンが発見されたとの連絡が入りました。ベン・ウォンは武術の経験がありましたが、映画のクランクインまでの4ヶ月間、ジャッキー・アクション・チームで集中的な特訓を受け、見事にリー・フォン役を演じ切りました。

ファンからの「ご自身にとってのレジェンドは？」という質問に対し、ジャッキーはチャーリー・チャップリン、バスター・キートン、ハロルド・ロイド、黒澤明、そしてロバート・デ・ニーロ、シルベスター・スタローン、ダスティン・ホフマンといった数えきれないほどの偉大な映画人の名前を挙げました。彼自身が若い頃に直面した困難な時期に、映画『ロッキー』に勇気づけられた経験から、「映画には大きな影響力がある」と熱く語りました。

映画製作者として、彼は作品を通じて愛、平和、団結、そして環境保護といったメッセージを伝えることに尽力しており、アクションはあっても残虐なシーンは避け、コメディには下品な要素を入れず、あらゆる年齢の観客が安心して楽しめる作品作りを心がけていると述べました。今回の来日中、彼は計11回の舞台挨拶を行い、これはハリウッド俳優としては最多記録。疲労を感じながらも、「皆さんが来てくれるから大丈夫」とファンへの感謝を忘れず、会場を盛り上げました。

MCの伊藤さとりから過去の舞台挨拶での歌唱を促されると、ジャッキーは「何を歌いましょうか？」と即座に応じ、「TOKYO SATURDAY NIGHT」を披露。さらに、過去の雑誌記事に掲載された自身の若き日の手形を映し出し、「カッコイイ」「けっこうイケメンでしょ？」と冗談を交えながら自画自賛しました。今回の来日では、令和初となる手形をカンフーの拳で取るパフォーマンスを披露。客席から現れたジャッキーちゃんのサポートを受け、力強く型に拳を押し込み、会場を沸かせました。

最後にジャッキーは、自身の映画製作における原動力がファンからのエネルギーであることを強調し、世界中のジャッキーファン、そして映画を愛するすべての人々への感謝を表明しました。「ぜひ映画館で映画を見てください。映画産業をサポートしてください」と呼びかけ、日本語で「応援してください。僕、がんばります」と付け加え、惜しみない拍手の中、イベントを締めくくりました。

この『ベスト・キッド：レジェンズ』では、ジャッキー・チェン演じるカンフーの師匠と、初代『ベスト・キッド』でミヤギ先生の教えを受けたラルフ・マッチオ演じるダニエルが共演し、二つの異なる教えが融合して新たな戦いに挑む物語が描かれています。映画は大ヒット上映中であり、本編の修行風景を収めた映像もYouTubeで公開され、大きな反響を呼んでいます。